第三話

452 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/06(日) 16:31:43 ID:kNlMseguO

結局内藤は何も答えが出ないまま、一睡も出来ずに朝を迎えていた。
カーテンの間から漏れる朝の光はむしろ内藤の心を余計に重くする。
いつの間にかテレビは陽気な音楽を流しながら朝の情報番組に変わっていた。
なんとなくその元気な雰囲気がうざったく、ようやく内藤はテレビのスイッチを切った。

( ^ω^) (‥‥‥お腹すいたお‥‥)

時計を見ると朝の9時を過ぎている。気が付くと昨日の夜から何も食べていなかった。こんな時でも腹が減る健康な体が恨めしい。
内藤は仕方なく朝食をとるため少し遅い朝の街へ出かけていくことにした。

455 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/06(日) 16:46:57 ID:kNlMseguO

わざとバーボンハウスの前を避けるように街へ出ると、内藤はファースト フード店でモソモソと食事を取った。
お腹が空いていたはずなのにあまり美味しく感じない‥‥内藤の心は重さを増して行くばかりだった。

学校へ行く気のしない内藤は取りあえず家へ帰ることにした。
だがその途中大きな白い建物が内藤の目に入った。

( ^ω^) (あ‥‥‥‥)

それは内藤が入院していた病院だった。
ズボンのポケット中をあさるように、昨日マスターから渡されたメモを引っ張り出す。

( ^ω^) (‥‥‥行ってみるかお‥‥。)

答えなど出ていない。
だが内藤は取りあえず自分の思いつきに体を任せる事にした。

465 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/06(日) 17:22:32 ID:kNlMseguO

彼女が入院していたのは病院の庭が見渡せる広い個室だった。
そこに彼女はベッドの上に無表情で静かに座っていた。
部屋に入ってきた内藤の顔を見ると一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐにもとの無表情へと戻ってしまった。

( ^ω^) 「おはようございますだお。」

「‥‥‥‥‥‥‥」

女性は虚ろな表情のまま何も答えない

( ;^ω^)「あ‥‥‥えと‥‥用事のついでだから何もお見舞いに持って来てなくて‥‥ごめんなさいだお」

466 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/06(日) 17:23:50 ID:kNlMseguO

「‥‥‥‥‥」

(# ^ω^) (なんで何も喋らないんだお。返事くらいしてくれてもいいはずだお。)

内藤は少し腹が立ったが、彼女の無気力な瞳を見つめ一つため息をつくと部屋から出て行く事にした。

( ^ω^) 「‥‥僕そろそろ帰りますお。急にお邪魔してごめんなさいだお」

それじゃ、と挨拶して部屋から出て行こうとした時、扉がガラッと開いて一人の少女が入ってきた。

「お姉ちゃーん。洗濯もの洗って来たよー。ってあれ!?内藤君!?」

( ^ω^)「ツン先輩!?」

474 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/06(日) 17:42:14 ID:kNlMseguO

「そっかー。お姉ちゃんを助けてくれた男の子って内藤君だったの かー。」

( ^ω^) 「‥‥‥‥‥」

少し風邪の強い屋上で二人は売店で買ったコーヒーを飲みながら話していた。

ツン「お姉ちゃんね‥‥人が怪物になって襲われたって‥‥
   警察の人が事情を聞きに来た時に信じてもらえなくて‥‥それである朝、突然声が出なくなっちゃったの‥‥」

( ^ω^)「そうだったのかお‥‥‥‥」

内藤の暗い表情を読み取ったのか、ツンは立ち上がり少し大きな声で言った

ツン「って何であんたにこんな事話してるのよ!!
  そういえば最近学校にも行ってないらしいじゃない!?何してるのよ!!全く!!」

479 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/06(日) 18:03:11 ID:kNlMseguO

( ^ω^) 「ごめんなさいだお‥‥」

ツン 「この間までここに入院してるって言うからお見舞いに行こうと思ったら居ないし、学校にも来てないって聞いたし全く‥‥何やってたの よ!?」

( ^ω^)「お見舞いに来てくれたのかお?」

内藤の質問にツンはアッと声をもらすと焦った調子で言った

ツン「お‥‥!!お姉ちゃんのついでよ!!つ・い・で!!あんたと同じ!!
   全く!!おかげでお見舞いの果物無駄になっちゃったじゃない!?」

480 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/06(日) 18:04:48 ID:kNlMseguO

( ^ω^)「果物まで持って来てくれたのかお?ごめんなさいだお。」

少女はまた焦った様に早口で言った。

ツン「そ‥‥!!それもついでよ!!
   わ‥‥!!私お姉ちゃんの所に行かなきゃならないから!!帰る時は顔出しなさいよ!!いいわね!?」

そう言うと走って立ち去ろうとしたが、焦り過ぎてつまづき、転びそうになってしまった。

( ^ω^)「大丈夫かお?」

ツン「う‥‥!うるさいわね!!あんたなんかに心配されるまでもないわよ!!!!」

538 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/06(日) 23:21:19 ID:kNlMseguO

少女の背中を見送ると内藤はフェンスに寄りかかり外の風景を眺めた。そ こには嫌味の様に平和な日常が流れていた。
結局手掛かりは何も無かった。答えもでていない。内藤からため息がもれる。

「答えは見つかったかしら?」

唐突に現れた声に内藤は振り向いた。
そこには森で合った女がその白い服を風に揺らし微笑みながら立っていた。

「その様子だと真実を知ったようね?」

( ^ω^) 「お前は‥‥!!!
       教えてくれお‥‥お前は‥‥僕は‥‥あの怪人達と同じなのかお?」

女はまたクスッと笑って答える

「そうよ‥‥私達は同じ。楽園の住人となる者。失われた<力の光>を手に入れた存在。」

( ^ω^)「そのために犠牲になる人達はどうでもいいと言うのかお!?」

「こうは考えられないかしら?彼らは元々ヒトですらなかった、と。」

549 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/07(月) 00:07:44 ID:v+ydAoB2O

( ^ω^)「どういう意味だお!?」

謎の女「<光の力>を備えていた古代人の姿が本来あるべきヒトのカタチだと言うのなら‥‥その力に耐えられない彼らは何?
    自らを人と思い込んだただのまがい物に過ぎないわ。
    この力はいわばヒトのライセンス。楽園の住人である証明書。それを持つ者だけが楽園へ帰る権利を持つのよ。」

( ^ω^)「‥‥‥‥‥‥」

内藤には何も言い返せなかった。
女はなおも言葉を続けた

謎の女「貴方はこの世界が美しいと思う?人のまがい物達が自らの欲望のままに歪めたこの世界が?
    貴方になら解るでしょう?この世界がどれだけ偽りに満ちているか‥‥‥」

626 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/07(月) 20:12:28 ID:v+ydAoB2O

( ^ω^) 「‥‥‥‥」

内藤の頭の中には何の言葉も浮かんで来ない。
その時、突然襲ってきたいつもの、しかし慣れることの無い感覚に内藤はよろめいた

( ^ω^) 「また声<ノイズ>!!!!!」

謎の女「あら‥‥本当ね。しかもこの病院の中からのようね。
    貴方が光を受けた夜にこちらに溢れ出した光がまだ残っていたようね。
    でも‥‥」

女にもそのノイズは届いていたようだが、全く興味が無いような声で言い捨てた。

謎の女「これは駄目ね。不安定過ぎるわ。
    まあ貴方がどれだけ特別な存在なのかよく解るでしょう?」

( ^ω^) 「僕はどうしたら‥‥」

628 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/07(月) 20:14:06 ID:v+ydAoB2O

内藤は自分の顔を手で覆い、その場にひざまずいた。
答えはまだ出ていないのに‥‥‥‥‥

謎の女「私は貴方がどんな答えを選択するのかじっくり見極めさせて貰うわ。
    返答、楽しみにしてるわね」

内藤が顔をあげると女の姿は声だけを残して忽然と消えていた。

( ^ω^)「僕は‥‥僕は‥‥。」

    (与えられた力を何に使うかは‥‥君自身が決めることだ‥‥)

マスターの言葉が内藤の脳裏に浮かぶ

    (ただ‥‥君が信じるものだけは見失わないでくれ‥‥)

( ^ω^) (僕が信じるもの‥‥?僕が信じていたのは一体何だったのかお?)

629 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/07(月) 20:17:35 ID:v+ydAoB2O

内藤の頭に次々と言葉が浮かんでは消えていく


  (コイツ陸上と趣味のバイクぐらいしか能がないから)          (ホライゾン君‥‥無理はするなよ‥‥)

    (そ‥‥!!それもついでよ!!)

(私達はヒトという存在の中の失われたピースを与えるだけ)    
                      (だから‥‥僕は行かなければならないお)

(‥‥何かあったようだね)          (やはり<完全なるヒト>の心は強く、美しい。)

          (‥‥‥‥‥タスケテ!!!!)

( ^ω^)「!!!!」

630 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/07(月) 20:23:47 ID:v+ydAoB2O

最初に聞いたノイズが頭の中にこだました。
そうだ!!僕は何をしていたんだ!?
戦う理由なんて最初から一つだけだったじゃないか!!

内藤は走り出した。飛び降りるように屋上の階段を下っていく

        (絶対に!!!!!!!!)

内藤は階段を降りた所で立ち止まり腕を横に伸ばすようなポーズを取った

        (助けて出してみせるお!!!!!)

   (^ω^)⊃   「変身!!!!!!!」
   (⊃◎:)
  /  ヽ

内藤が高らかに叫ぶと腰のベルトは光を放ち始めた
まるで内藤の心の闇を吹き払うかのように

    ヽ   !
   (=ЮωO)⊃
   (⊃¥)
  /  ヽ

 ヽ   !
(= ЮωO) (どうか‥‥間に合ってくれお!!!)

639 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/07(月) 20:52:58 ID:v+ydAoB2O

病院の中は不気味なほど静まり返っていた。

内藤がノイズの方向へ走っていると廊下に看護婦が一人倒れているのが目に入った

 ヽ   !
(= ЮωO) 「大丈夫かお!?」

看護婦を抱きかかえるように起こしてやると苦しそうに途切れ途切れに言葉を絞り出した

「鳥のような姿をした化け物が‥‥現れたと思ったら‥‥急に気分が‥‥」

看護婦の体からは人の者とは思えないほどの熱が感じられた。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「くっ。待っていてくれお!!必ず助けるお!!!!」

内藤は看護婦の体をそっと寝かせてやるとノイズの方向へ一心不乱に走っていった
次第に廊下で苦しそうにうめき声をあげる人達が増えていく。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「くそっ!!!」

内藤は彼らを振り切るように一気に駆け抜けた。

644 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/07(月) 21:26:44 ID:v+ydAoB2O

 ヽ   !
(= ЮωO) (く‥‥これも怪人のせいかお!?毒ガス‥‥いや何かのウイルスかお!?)

ノイズは見覚えのある部屋から聞こえてきていた。
内藤の背筋が凍る。
その時聞き覚えのある叫び声がこだました。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「ツン先輩!!」

内藤は部屋に飛び込む。

そこにはベッドの上で怯える二人と、そこに今まさに襲いかからんとする怪人の姿が見えた。
怪人は大きな翼のような前肢をもち、刃のように鋭いクチバシからは女の悲鳴のようなカン高い叫びを発している。

645 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/07(月) 21:27:51 ID:v+ydAoB2O

 ヽ   !
(= ЮωO) 「ブーンキック!!!!」

内藤は勢いをそのままに怪人に跳び蹴りを入れた。
不意を突かれた怪人は避けることが出来ず窓を突き破り病院の庭に落ちていった。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「大丈夫かお!?」

内藤は二人の方を見ると声をかけた。

ツン「は‥‥はい‥‥何とか‥‥。
   でもあなたは‥‥?その喋り方‥‥どこかで‥‥?」

内藤は焦ったが出来るだけ冷静に聞こえるよう言った。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「ぼk‥‥いや、私は‥‥か‥‥仮面ライダー!!
       仮面ライダーブーンだ!!君達の味方さ。」

ツン「あ‥‥待って!!!」

 ヽ   !
(= ЮωO) 「トウ!!!」

内藤はツンが呼び止める声を聞かず、割れた窓から庭へと飛び降りた

738 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/08(火) 17:43:54 ID:W1AocGFAO

内藤は病院の三階から庭へと着地すると怪人の方に向き直った。
怪人も上手く着地していたようだ。あまりダメージを受けている様子は無い。

(`∋´)「クエエエエッ!!!!」

怪人の甲高い雄叫びと共に手裏剣のような鋭い羽が三つ放たれた。
内藤は横に跳びそれをかわす。狙いを外した羽はカッと音を立て木に突き刺さった。
内藤が体勢を立て直し怪人に顔を向ける。しかしそこには既に羽による攻撃の第二波が放たれていた。

 ヽ   !
(= ЮωO)⊃ 「ブーンチョップ」

内藤の叫びの雄々しい声と共に鋭い手刀が横になぎ払うように一閃する。
次の瞬間羽根の刃は空中で真っ二つに両断され、パラパラと音を立て地面に墜ちた。

739 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/08(火) 17:45:39 ID:W1AocGFAO

その時怪人は大きく息を吸うような動作を取った。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「!?」

内藤が警戒する構えを取った時、怪人の口からガス状の何かが放たれた

(`∋´)「クエエエエッ!!」

 ヽ   !
(= ЮωO) 「これは‥‥ウイルスかお!?これがみんなを‥‥!!」

怪人が放ったガス状のウイルスが辺りを包み視界を奪う。
怪人は勝利を確信し笑うような声を発した。
だが怪人は突然その不吉な霧の中に内藤の赤く輝く目が走るのを見た

740 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/08(火) 17:46:17 ID:W1AocGFAO

 ヽ   !
(= ЮωO) 「ブーンパンチ!!!」

変身した内藤にウイルスは全く意味をなさなかった。
内藤は油断しきった怪人にめがけて渾身の力を込めた一撃を放つ
しかし内藤のパンチがヒットする寸前に怪人はその大きな翼を羽ばたかせ空へと飛翔した。
内藤の拳が虚しく空を切る

 ヽ   !
(= ЮωO) 「くっ‥‥コイツ‥‥飛べるのかお!?」

(`∋´)「クエエエエッ!!!!」

怪人はもう一つ叫ぶと内藤目掛けて急降下した。

752 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/08(火) 20:03:00 ID:W1AocGFAO

だが内藤は避けようとしなかった。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「ハアッ!!」

上空から弾丸のように突進を仕掛けてきた怪人のクチバシに強烈な拳を叩き込む。
岩をも砕くその衝撃に怪人のクチバシにひびがはいった。

(´∋`) 「グギャアアアア!!!!!」

怪人はフラフラと空へ飛び立ち、欠けた自分のクチバシをおさえながら内藤に背を向けた。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「くっ!?逃げる気かお!?」

あの怪人が街にでも逃げ込んだりしたら‥‥。
内藤に病院の中で苦しむ人達の姿が思い出された。

753 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/08(火) 20:03:53 ID:W1AocGFAO

 ヽ   !
(= ЮωO) (待てよ‥‥ベルトの力で豹の怪人と戦った時の技を限界まで高めれば‥‥)

 ヽ   !
(= ЮωO) 「はあああああ!!!!!」

内藤の体が光を放ちそれが左腕に集まっていく。
そしてそれは以前豹の怪人と戦った時比べ物にならない程の物だった。
内藤は空中でフラフラと遠ざかっていく怪人めがけて、バッと手をかざした。

754 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/08(火) 20:05:02 ID:W1AocGFAO

 ヽ   !
(= ЮωO) 「VIPビィィィィム!!!!!!」


            ノ ̄ ̄\                       _ _ ___ _ __ _
 ≡. ヽ   ! V /  / ̄ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄__ _ _ __  _ __ _
≡ (=ЮωO)⊃I   /     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                
≡ (⊃¥)   P  ヽ    ________________  _ _ ___ _ _ __ __ _
 ≡/  ヽ    \ ヽ_/___________________ _ _  _ _  _
            ヽ___ノ


(´∋`) 「グギャアアアアァァ‥ァ‥‥ァァ‥‥」

内藤が放った光線が怪人に直撃し、怪人の羽毛に覆われた体を消し飛ばす。
直後空中で爆発が起こり怪人は光へと変わり、やがて消えていった。

771 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/08(火) 20:52:29 ID:W1AocGFAO

怪人が倒れたのを確認し、内藤は自分の体を確かめるように拳を固く握り しめた。

 ヽ   !
(= ЮωO) (凄いお‥‥今までは光の力を使うと変身が解けていたのに‥‥これがベルトの力かお?)

内藤はハッと病院の中の状態を思いだした。

 ヽ   !
(= ЮωO) (そうだ!!みんなは無事かお!?)

内藤は病院の中に駆け込み、ロビーに倒れていた看護婦に声をかけた。

( ^ω^)「大丈夫ですかお!?」

「う‥‥うん‥‥ここは‥‥」

内藤は看護婦の額にそっと触れた。
大丈夫だ。熱は下がっている。

( ^ω^)「立てますかお?」

「え‥‥ええ‥‥あの怪物は‥‥?」

( ^ω^)「もう大丈夫ですお。心配しないで下さいお」

良かった‥‥。みんなを助けられたんだ。
内藤はほっと胸をなで下ろした。

972 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/09(水) 19:46:34 ID:ocmtmxvgO

( ^ω^)「ツン先輩!!無事かお!?」


内藤がツンのいる部屋に駆け込んだ時、ツンは窓ガラスの割れた部屋から別の病室へと移動するための準備をしているところだった。
内藤の無事を確認できたからか一瞬ツンの顔に安堵の表情が浮かんだが、すぐに眉をつり上げ内藤に向かってまくし立てた。

ツン「うるさいわね!ここ病院よ!?静かにしなさいったら!!」

(; ^ω^)「う‥‥ご‥‥ごめんなさいだお。(自分も声が大きいお‥‥)」

ツン「ったく!!今まで何してたのよ!?」

(; ^ω^)「あ‥‥えと‥‥あの後屋上でうっかり寝てたんだお。
      それで騒がしいなあと思って起きたらこんな事になってたんだお」

973 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/09(水) 19:48:25 ID:ocmtmxvgO

内藤は自分自身苦しい言い訳だと思いつつしどろもどろに答えた。

ツン「あんたらしい馬鹿な理由ね。こっちは色々大変だったんだから!!」

( ^ω^)「ごめんなさいだお。」

内藤は申し訳なさそうにツンの顔を覗きこんで驚いた
ツンはその大きな瞳に涙を溜め今にも泣き出しそうな顔をしている。

ツン「あんたも長岡君も心配ばっかりかけるんだから‥‥ばか‥‥」

( ^ω^)「‥‥ごめんなさいだお‥‥」

内藤はただ謝ることしか出来なかった。
部屋の外の廊下ではいつの間にかマスターが籠に入ったりんごを片手に突っ立っていた。

(´・ω・`) (私も見舞いに来たのに‥‥完全に入るタイミングを失った‥‥
       お見舞いの品のりんごまた自分で食べるのか‥‥‥)

981 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/09(水) 20:31:32 ID:ocmtmxvgO

「一般の患者の方や捜査の邪魔になります!!押さないで下さい!!」

警察官の制服を着た若い男が声をはりあげる。
内藤が病院から出ると門の前には沢山の人だかりと警察官がぎっしりと居た。
内藤は野次馬たちの合間を縫うようにやっと病院から抜け出す事が出来た。

ふと、内藤の目に人の群れから離れた所にバイクを停め一人タバコをくゆらせるマスターの姿が映った

( ^ω^)「マスター!!」

(´・ω・`)y−~「やあ、病院の方の様子が騒がしいからもしやと思ってね

983 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/09(水) 20:32:44 ID:ocmtmxvgO

マスターは相変わらずの落ち着いた調子で言った。それにしてもこの人に は煙草がよく似合う。

(´・ω・`)y−~「せっかくだ。ウチの店まで乗って行きなさい。」

( ^ω^)「すみませんだお。‥‥あれ?これはリンゴ?」

バイクの上にリンゴを置きっぱなしにしてあったことを思い出しマスターは焦りながら答えた。

(´・ω・`)y−~「あ‥‥ああ、ウチの新商品を作ろうとおもってね。」

( ^ω^)「そうなんですかお?でも籠に入ってるお?」

984 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/09(水) 20:33:19 ID:ocmtmxvgO

(´・ω・`)y−~「た‥‥高いリンゴなんだ!!
      そ‥‥!そうだ!!なんならそのリンゴ少し貰って行くかい?」

( ^ω^)「いいんですかお?高いんじゃなかったのかお?」

(´・ω・`)y−~「いいんだ。どうせ一人では食べきれないからね。」

( ^ω^)「一人で?新商品に使うんじゃ‥‥‥」

(´・ω・`)y−~「ゲフンゲフン」

マスターは内藤の言葉を遮るようにわざとらしくせき込んだ。
少し大袈裟すぎたため本当に少し苦しくなってしまった。

(´・ω・`)「そ‥‥それよりそろそろ行こうか。店の準備もあるしね‥‥」

( ^ω^)「???」

31 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/09(水) 22:49:37 ID:ocmtmxvgO

(´・ω・`) 「そうか‥‥色々あったようだね‥‥」

内藤はマスターに病院で起こったことを一通り語った。

( ^ω^) 「はいだお‥‥でも収穫は大きかったですお」

(´・ω・`) 「そうだね。取りあえず<導くもの>と名乗った彼らの目的ははっきりした。」

マスターは器用な手つきでリンゴの皮を剥きながらゆっくりと話した。

(´・ω・`) 「彼らは力の光を解放し人間に与える事で古代人の力を取り戻し、この世界の姿を楽園へと帰す事を目的とし

ている‥‥」

マスターは手を止め溜め息をついた。

33 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/09(水) 22:50:32 ID:ocmtmxvgO

(´・ω・`) 「難しいね‥‥それ自体は間違った考えとは言い切れな い」

( ^ω^)「そうかも知れないですお‥‥。でもわかったんですお。
      僕が戦う理由‥‥。僕が誰のために‥‥何のためにこの力を使うのか‥‥。今はそれを信じたいんだお。」

(´・ω・`)「そうか‥‥」

内藤は力強く言葉を続けた。

( ^ω^)「それに奴らがあの空の穴‥‥冥界と関係してるならその先に長岡が居ると思うんだお。
      僕はアイツを助けたい‥‥。絶対に!!」

マスターは背後の食器棚からリンゴを盛りつける皿を出している所だった。
マスターは振り返る事無くそのまま呟くように言った。

(   ´)「ありがとう‥‥ホライゾン君‥‥」


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