第二話
52 名前: 以下、名無しにか
わりましてVIPがお送りします 投稿日: 2005/11/14(月) 02:07:29 ID:xqb0AGcZ0
('・ω・`) 「う・・・うそだっ!!ブーンが刀狩のはずがな
い!!」
先生 「疑うならば、客間の風呂敷を開けて見ればいい」
言われたとおり、風呂敷をあけるショボン
その中には血にまみれた刀が、大小あわせて十七本
('・ω・`) 「・・・これは・・・・!」
先生 「私も・・・信じたくはなかった・・」
('・ω・`) 「しかし!先生!!ブーンの・・・ブーンは私と同い年です!!」
「刀狩であるはずがありません!!」
先生 「左様・・・やつは二代目を名乗っておったよ・・・!」
('・ω・`) 「そんな・・・?なんの・・いったい、なんのためなんです!?」
混乱の極みと言ったショボンに、苦悩の極みと言った表情で先生は返す
先生「・・・わからぬ。わたしにも・・・・わからぬのよ・・・・」
「それよりも・・・この小太刀、見覚えはないか?」
('・ω・`) 「!・・・・う・・そ・・・でしょ・・・?」
「だって・・・は、はは・・w・・・ブーンが・・・・あのブーンが・・・・!!」
抜き身の小太刀を抱きしめ、うわごとのように「ブーン」と繰り返すショボン
ショボンに背を向けた先生は、怪しく笑っていた
61 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます 投稿日: 2005/11/14(月) 02:31:14 ID:xqb0AGcZ0
槍の長さは説明の必要がないと思う
その全てを木で作ったとして、相当な重さだ
穂先や形状次第ではいくらでも重くなり得る
それが全て鉄であるとしたら・・・それはもはや人の手に余る凶器である
(;^ω^)(ソレを、軽々と扱うこの男はいったい・・・・?)
('A`) 「落ち着けって、な? あ、もしかして日本語通じない人?」
(;^ω^)「・・・・通じてるお・・・」
そっか、と毒男は笑い、器用にも片手でキセルに火を着けた
その姿はあまりにも隙だらけ、油断の固まりであった
('A`) 「・・・ぷっはああw・・ん? ああ、お前も吸うかい?」
(;^ω^) 「いや、いいお(男と間接キスなんてごめんこうむるお!)」
('A`) 「ええっと、とりあえず、だ。俺はお前とやりあう気はねぇ」
「ここ重要よ? それは解かってもらえる?」
(;^ω^) 「その言葉を、信用しろとでも言うのかお・・・・・・?」
('A`) 「なんだよ?ぶっちゃけ今のあんたなら瞬殺出来たんだぜ?わかるだろ?」
( ^ω^) 「どうでもいいお・・・用件をはやく言うお」
('A`) 「ちっ・・・張り合いのねぇ・・・命がいらないって面が気にくわねぇ」
「ま、いいとしようや。要件は、ま、あれだ。刀狩についてだわな?」
64 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます 投稿日: 2005/11/14(月) 03:02:43 ID:xqb0AGcZ0
道場は、騒がしかった
師範代であるショボン、ツン、ブーンの三人と道場主である先生が不在
道場に残っているのは子供たちだけであった
いくら武家の生まれと言えど、子供は子供、
怖い大人のいない今を好機と、力の限り遊んでいる
いつもなら騒ぎを聞きつけたツンが子供たちを叱り飛ばすか
先生が現われるだけで皆を黙らせるかするのだろうが
先生とショボンは敷地内から消え、ツンはそういったコンディションではない
結果、
無法地帯のような様相を呈していた
ツン (うるさいうるさいうるさいうるさい!!)
ツンは変わらず、母屋の隅で膝を抱え、まるで周りの全てを拒否するように泣いていた
ツン (みんな・・・みんなみんな・・・!・・お父様のせいだ!!)
(そもそも・・・ショボンさえ・・あいつさえ婚約者じゃなかったら・・!!)
周囲への拒絶は、たやすく憎悪へと変貌していった
86 名前: 1
投稿日: 2005/11/14(月) 12:13:49 ID:xqb0AGcZ0
('A`) 「あんたはなんで刀狩なんかをやってんだ?」
美味そうに煙を吸い込む毒男は、興味本位を隠そうともせずに尋ねる
( ^ω^) 「・・・先生の言いつけだからだお」
そう言うと、毒男からにたにたとしたいやらしい笑いが消えた
キセルの端をギリリ、と噛む姿は何かを食いしばって耐えているようでもあった
('A`) 「・・・・ちょっと待て。その先生とやらはなんだってそんなことを?」
(#^ω^) 「そんなのはこっちが聞きたいお!!」
('A`) 「わかった、落ち着けや?な?・・・・つまり、お前さんは、なんだ?あれか?」
「刀狩がなんなのか知らないってこったな?」
( ^ω^) 「刀狩は刀狩だお? 刀を奪うことに決まってるお?」
毒男は煙と共に大きくため息を吐いた、何も知らないんだな、とつぶやき
('A`) 「OK、無知なお前に教えてやるよ」
(#^ω^) 「さっきから話が回りくどいお!一体何が言いたいんだかはっきりするお!」
('A`) 「結論から教えてやる。刀狩ってのはな、十年前に起こった連続強盗事件」
「その下手人である辻斬り魔の通称だ」
(;^ω^)「・・!!」
87 名前: 1
投稿日: 2005/11/14(月) 12:31:38 ID:xqb0AGcZ0
道場からほど近いショボンの家には、先生とショボンの二人の姿があった
鞘から抜かれ、剥き出しの刀身を抱きしめていたショボンは既に血まみれ
先生はそれを止めることもせず、とつとつとひとり喋り続けた
先生 「ブーンには・・・刀狩と縁があったのかもしれぬ・・・」
「ソレが血縁なのか、情なのか、そこまではわからぬ・・・」
('・ω・`) 「うそだ・・・うそだ・・・」
先生 「嘘なものか? ・・・ならば、お父上の小太刀、何故ブーンの荷物にあったのだ?」
('・ω・`) 「・・・!!でもっ!!ブーンは、人なんか斬れるやつじゃありません!!」
先生 「わしとてそう思っていた!」
先生の一喝は、掘っ立て小屋のようなショボンの家を大きく揺らすほどであった
しかし、続く先生の言葉には、強さはなく、ただ戸惑いの色だけが浮かんでいた
先生 「・・・しかし、刀についた血のりは・・・どう説明する・・!」
('・ω・`) 「・・・・っ! でも! それでも!!」
先生 「みなまで言うな」
('・ω・`) 「・・・・・」
先生 「過ぎたことを、悔やんでも詮方ない」
「わしは・・・ブーンを、否、刀狩を止める」
('・ω・`) 「!・・・ならば、私もご一緒いたします!行ってブーンの本心を問い正・・」
立ち上がりかけたショボン。そのみぞおちに、先生の刀の柄がめり込んだ
('・ω・`) 「え・・・?せんせ・・・・い・・・?」
先生 「・・・もしもの時は、ツンを、頼む・・・頼んだぞ・・・・!」
91 名前: 1
投稿日: 2005/11/14(月) 13:00:06 ID:xqb0AGcZ0
(;^ω^) 「ちょ・・・そんな事件聞いたこともないお!?」
('A`) 「そりゃ、当時お前さんはまだがきんちょもいいとこだわな?」
「知ってる方がどうかしてると思うがな?」
(;^ω^) 「でも、刀狩なんて特徴のありすぎる事件、噂が残っても・・・」
('A`) 「残らねぇよ」
( ^ω^) 「なんでだお?」
('A`) 「下手人の刀狩だがな・・・・大きな声じゃ言えねぇがココの城の・・」
そこで毒男は言葉を切った。顔は、しまった、と書いてあるようしかめっ面
気を紛らわすためか、キセルをしきりにカリカリとかじり始めていた
( ^ω^) 「城の・・・・? なんでそこで止めるお? 中途半端だお!」
('A`) 「わるい、ちょい喋りすぎた。お前さんに教える義理なんぞないだろ?」
苦い顔の毒男。それはブーンに、これ以上聞いても無駄という確信をあたえた
( ^ω^) 「・・・他のことなら聞いてもいいかお?」
('A`) 「・・・内容によるな?」
94 名前: 1
投稿日: 2005/11/14(月) 13:10:21 ID:xqb0AGcZ0
( ^ω^) 「じゃあ・・・・・」
('A`) 「待った」
(#^ω^) 「まだ何も言ってないお?」
('A`) 「さっきまで俺がお前に教えてたんだぜ? 今度はこっちが聞く番だろ?」
言外に、答えねばこちらも答えぬ、そうにおわせる言い回しだった
(#^ω^) 「さっさと聞けばいいお!」
('A`) 「お言葉にあまえてwwwまずはジャブからww」
「刀狩なんてのは、どう転んでも無法な行いだわな?」
「いくら先生さんのお達しでもよ、普通はことわらねぇかい?」
全然ジャブなんかではなかった。ブーンにとってそれは重過ぎる質問だった
('A`) 「ん? そ、そんなに答えにくい質問だったか?」
(;^ω^) 「・・・いや。ただ・・・・女々しい理由なんだお」
ブーンはポツリポツリと、血を一滴一滴吐くように語り始めた
102 名前: 1
投稿日: 2005/11/14(月) 14:07:24 ID:xqb0AGcZ0
一月前
( ^ω^) 「先生、お呼びですかお?」
先生 「ふむ・・・・ブーンよ、突然ですまぬが、ツンのことじゃ」
(;^ω^) 「は、なんですかお?」(フラグ?これはフラグかお!?)
先生 「当道場は、城の剣術指南役を仰せつかっているのは、知っているな?」
( ^ω^) 「は、存じておりますお」
先生 「わしももう歳だ・・・そろそろ後継者を決めねばなるまい・・・」
( ^ω^) 「せんせい・・・・まさか」(え!?この展開はきちゃったお!?)
先生 「それはそうと・・・ブーンよ」
( ^ω^) 「なんでしょうかお?」(勿体つけないでほしいお・・)
先生 「そなたは、当流の真髄は知っているな?」
( ^ω^) 「二の太刀いらず・・・でしたかお?」(なんのはなしだお?)
先生 「うむ・・・つまるところ、一撃必殺といったところか・・・・」
( ^ω^) 「それがどうしましたお?」
先生 「・・・・・・ツンのことはショボンに任せようと思っている」
108 名前: 1
投稿日: 2005/11/14(月) 14:46:59 ID:xqb0AGcZ0
(#^ω^) 「それは・・・・!!どういうことですかお!?」
先生 「わしに意見するとは、偉くなったものだな?」
(;^ω^) 「し、失礼しましたお・・ですが」
先生 「おぬしの言いたいことも分かる。ゆえに、今この話をしたのだ」
( ^ω^) 「仰っている意味が・・・・わかりませんお・・・」
先生 「わからぬのか?・・・そなたにもチャンスを与えると行っているのだ」
( ^ω^) 「ほ、ほんとですかお!?」
先生 「本日より、ショボンとツンを婚約させる」
「そして三月後の式までの間に、ブーンよ、刀狩で力を示すがよい」
( ^ω^) 「・・・刀狩とは?」
先生 「腕に覚えのある武士と立会い、勝利の暁に刀を証として奪ってくるのだ」
(;^ω^) 「・・・!! 先生・・・それは・・・」
先生 「これ以上の問答は無用だ」
( ^ω^) 「しかし!!」
先生 「ツンは、諦めるのだな?」
(;^ω^) 「・・・っ!!!!」
先生 「ココに三両ある。旅するには十分であろう」
「さっさと行くが良い」
109 名前: 1
投稿日: 2005/11/14(月) 14:56:53 ID:xqb0AGcZ0
( ^ω^)(やるしか・・・・やるしか・・・ないのかお・・・?)
ブーンはまるで幽鬼のようにフラフラと町を歩いていた
刀を奪え。ソレは武士の魂を、精神的にも物理的にも奪うことではないのか?
なぜ先生はそのような夜盗まがいのことを命じたのだろうか?
わからない・・・・なにより、一番分からないのは・・
(;^ω^) 「ぼくは・・・ツンのために人を殺せてしまうのかお・・・?」
殺せるわけがない。そう言っている自分と
ツンのためなら。そう叫んでいる自分がいる
心が、痛い。
ツン 「アタシのために・・・なんですって・・?」
(;^ω^) 「つ、ツン・・・・・!」
148 名前: 1
投稿日: 2005/11/14(月) 23:43:19 ID:xqb0AGcZ0
思い出し、語る内にブーンのツンに対する想い、愛は増していった
しかし親友のショボンへの友情、尊敬する先生への敬愛もが複雑にからむ
ブーンの表情はじょじょに険しくなっていった
( ^ω^) 「・・・そんなやりとりがあってそれから、」
('A`) 「おい? のろけ話はもういいぞ」
(;^ω^) 「の、のろけなんかじゃないお!!」
('A`) 「どっちでもいいんだよ。・・・話してるお前さん、辛そうな顔してるぜ?」
( ^ω^) 「・・・すまんお」
毒男なりの気遣いは、ブーンにはありがたかった
半ば脅されているような相手に対して、ありがたいと感じるのも不思議だったが
それほど、ブーンの心は焦げ付いていた
('A`) 「さ、そっちのターンだ。何が聞きたい?」
( ^ω^) 「それじゃ、聞くお。なんで毒男は刀狩のことを聞きたがったお?」
「聞けば、刀狩は相当危険なやつみたいだお」
「その刀狩当人かもしれない人間に、直接聞くなんて危険すぎるお」
('A`) 「・・・・答えにくいな」
( ^ω^) 「これも、聞いてはいけなかったかお?」
('A`) 「いや、大事な部分をぼかしていいんなら、教えてやるよ」
151 名前: 1
投稿日: 2005/11/14(月) 23:50:43 ID:xqb0AGcZ0
毒男は大きくキセルを吸い込み、深呼吸でもするように煙を吐いた
('A`) 「そうだな、ニュアンス的なことを言うなら、功名心ってやつが動機だ」
( ^ω^) 「光明神かお?」
('A`) 「・・・なんだその素晴らしそうな神様は? 名をあげたいって方だよ!」
(;^ω^) 「あ、ああ。功名心のほうかお?」
('A`) 「そうだよ、そっちだよ!調べてみれば、かなりの使い手ばかりを倒してる」
「そいつを倒せば、俺の名前もちったぁ売れんだろ?」
ブーンは毒男の言葉に違和感を覚えた。どこか、とは言えないが、何か隠しているように思えた
( ^ω^) 「・・・本当にそれだけかお?」
毒男はその言葉に嬉しそうに笑った
('A`) 「ほう? なんでそう思う?それ以外に何があるとおもうんだ?」
( ^ω^) 「うまくは言えないお・・・ただ、違和感があるんだお」
155 名前: 1
投稿日: 2005/11/15(火) 00:00:59 ID:RXIF575q0
('A`) 「くくくw・・・違和感かww」
( ^ω^) 「そうだお! そこだお!!」
('A`) 「おいおいw? 俺は笑っただけだぞ?」
( ^ω^) 「本当に名を売りたいなら、そこで笑わないお?」
「今すぐにぼくを叩っ斬ればいいんじゃないかお?」
('A`) 「オーケー、いい勘だ、いい勘してるぜぇww?
「だがその質問に答える前に、こっちのターンを終わらせようか?」
( ^ω^) 「構わないお」
毒男は心底楽しそうにキセルを弄ぶ。まるで新しいおもちゃを手に入れた子供のように
('A`) 「そうだな、それじゃ、本題いっとくか?」
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