第九話
809 名前: 1・
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 16:26:30 ID:m6f8VM080
戻ってきた二人は晴れやかな顔をしていた
ショボンの方が泥まみれなので、きっと普通の話し合いではなかったのだろう
ツン 「こっちの話は終わったわよ?」
('・ω・`) 「ええ、お互いに納得がいく形でね」
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なんだか二人がやけに親密になっているような気がするのは気のせいか?
事実、ツンはブーンの方を見ようとせず、ショボンはこっちを見て、笑顔だ
(;^ω^) (や、やばくないかお!?)
焦り、両手をばたつかせ、奇妙な踊りをするブーンを無視して、ツンは切り出す
ツン 「お父様。こっちは色々と覚悟を決めましたわ・・・・・」
「それで・・・・・・お父様の覚悟はお決まりになりました・・・・?」
何の覚悟、といぶかしむ暇を与えず、ショボンが言う
('・ω・`) 「死なずに・・・・決着をつける覚悟を・・・・!」
812 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 16:35:44 ID:m6f8VM080
先生は、二人の言葉に、観念したような、喜ぶような色を浮かべる
先生 「お前達は・・・・・私にこう言うのだな・・・・?」
「逃げずに・・・・・自分の手で・・・・毒男とけりをつけろと・・・」
頷くツンとショボン
ツン 「当然でしょ? 私たちは、お父様の言葉を待たずに」
「二人の関係を、二人でけりをつけたのよ?」
('・ω・`) 「ぼくも・・・先生の力を借りずに、父の仇との関係を決着しました」
ツンさんの手を借りてですが、と付け足し
('・ω・`) 「ならば先生だけを、死んで逃げさせるわけには、行かない・・・・」
「毒男の覚悟と、父の覚悟に、向き合ってください!」
815 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 16:47:10 ID:m6f8VM080
先生は、うつむき、何も言わずに刀置きまで歩く
そして、一本の刀と、その裏にあった桐の箱を持ってきた
引き抜く刀にはあるべき刀身は無く、桐の箱にそれは入れられていた
先生 「・・・生き延びたと知ったとき、私はこの刃の無い刀で」
「毒男と・・・・・一対一の果し合いを申し込むつもりでいた・・・・・」
先生は、刀身を手にとり、柄を分解して、刀をあるべき姿に戻す
先生 「私の死で・・・・逃げて終わりを求めるのは・・・・もうやめよう・・・・・」
「武士の覚悟を持って・・・・・私は闘おう・・・・・」
「毒男の覚悟と、自身の罪とを、敵にまわして戦い抜こう・・・・!」
ツン 「お父様・・・・・・!」
('・ω・`) 「先生・・・・・・・!」
もうそこには、生を捨てた老人の姿は無く、誇り高い虎の姿があった
先生 「お前達の覚悟と・・・そしてブーンの覚悟に報いるとしよう・・・!」
821 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 17:05:37 ID:m6f8VM080
その後の話し合い、否、作戦会議は至極簡単なものであった
まず、毒男は『俺たち』と言ったことから、複数で来るだろうという事
次に、先生のもっとも苦しむ死に方とは、弟子と娘の死を目の当たりにさせることだろうと言う事
最後に、ツンと道場を、ブーン、ショボン、先生が三方に分かれて守るという事
それだけを確認して、決戦の時まで休養という運びになった
(;^ω^) 「・・・・ぼくは、主人公じゃなかったのかお・・・・」
先ほど、先生を叱咤する二人と再び立ち上がる先生の会話に
全くからめなかったブーンは、自分の立ち位置に疑問を感じ、凹んでいた
それに加えて、ショボンとツンのこともある
他の三人は酷くすっきりしている中、ブーンは一人取り残され、べっこべっこに凹んでいた
(;^ω^) 「・・・・はあ・・・・・・・」
ツン 「・・・なぁに辛気臭いツラしてんのよ?」
(;^ω^) 「あ、ツン! あの、その、ショボンとのその・・・」
「婚約とかのはnくぁwせdrftgyふじこっ!!?」
ツン 「かんでるかんでるw」
828 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 17:22:56 ID:m6f8VM080
ツン 「はい、お茶」
(;^ω^) 「あ、ありがとうだお・・・・・」
差し出されたお茶を飲み、一息
少しは落ち着きを取り戻したブーンは、改めて尋ねる
( ^ω^) 「あの・・・・ショボンとの婚約は・・・結局、どうなったんだお?」
ツン 「ああ、あれ? あれはお父様がアンタに斬られるためと」
「ショボンをうちに縛るための口実だったからね・・・・」
くすり、と笑い
ツン 「白紙にもどしたわよ」
( ^ω^) 「!! じゃ、じゃあ!!」
ツン 「はい、そこで勘違いしなーいっ!」
(;^ω^) 「!?」
ツン 「ア・タ・シ・は・。・・・そんな道具扱いの婚約を、破棄しただけよ?」
832 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 17:33:07 ID:m6f8VM080
ツン 「つまり、ショボンを振ったわけでも何でもないの」
(;^ω^) 「・・・・そ・・・そうなのかお・・・・」
肩を落とし、うなだれるブーン。と、不意にその背中に手が回された
ツンの手であった
ツン 「はぁ・・・・・まったく、何をこの程度で落ちこんでんのよ・・・・・?」
(;^ω^) 「ふぇ!? は!? ほ!?」
ツン 「はいはい、この程度で取り乱さないっ!」
(;^ω^) 「ふ・・・・!! ぐぁああっ!!!?」
パニクるブーンをそのままベアハッグするツン
そのままの姿勢で、続ける
ツン 「いい? アタシは、アンタのことを心配し続ける、って約束したじゃない?」
(;^ω^) 「・・・・・・・(ピクッ・・・・ピクッ・・・・)」
ツン 「結婚なんてしたら・・・・・そんなの・・・・できないじゃない・・・?」
「・・・・って、聞いてるのっ!?」
(;^ω^) 「・・・・ガクガクガクガク」
あー・・・。 うん、ツンよ。 締めすぎだ
835 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 17:45:09 ID:m6f8VM080
(;^ω^) 「中身が出るかと思ったお・・・・・」
ツン 「こほん・・・えーと、どこまで話したっけ・・・?」
「あ、そうね、結婚できないってとこまでよね?」
一応聞いてはいたブーンが頷く
ツン 「確かに、アタシはショボンと結婚するかもしれないわ」
(;^ω^) 「!!!!!!!!!!!!!」
ブーンの言葉にならない叫びに、内心で喜び、顔は笑顔で続ける
ツン 「でも、それはアンタが結婚した後のことよね?」
(;^ω^) 「・・・・? え? それは・・・・どういう・・・・・?」
ツン 「アタシは、アンタを心配し続ける。アンタのことが心配じゃなくなる時なんて・・・」
「アタシの代わりに、誰かがアンタの傍にいるとき以外、ありえないもの」
( ^ω^) 「ツン・・・・・・・」
ツン 「アンタは・・・・アタシがいないと駄目だもんねw」
「はやく、アタシの代わりを見つけなさい? ・・・・でないと」
一度、顔を伏せ、満面の笑みを浮かべてから、もう一度顔をあげる
ツン 「アタシが、いつまでも嫁にいけないわよ?」
838 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 17:52:36 ID:m6f8VM080
( ^ω^) 「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
ブーンは、呆けていた
ツンの言葉がなかなか染み渡らず、身動きが取れないでいた
徐々に、ツンの言葉が、心に広がっていき、隅々にまで行き渡ったそのとき
ブーンは涙した
(#^ω^) 「か・・・・・! 代わりなんて、いないおっ!!」
ツン 「ブーン・・・・?」
(#^ω^) 「ぼくの・・・ぼくの隣に立つ人なんて、ツン以外いないお!!」
腕を振り上げ、熱弁する。自分の思いを、もう止められない激情を
( ^ω^) 「だから・・・・・! ツンを・・・・他のやつなんかに・・・・!!」
「たとえショボンでも、ツンは・・・・・・嫁になんかさせないお!!」
842 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 18:03:05 ID:m6f8VM080
告白は止まらない。長い間、十年以上も溜め込んだ言葉は、とどまれない
( ^ω^) 「ツンがいつまでも嫁にいけないんなら、それでいいお!!」
「ぼくも、いつまでも! いつまでも、いつまでも!」
「ツンの代わりなんか見つけないお! 絶対に見つけないお!」
「だから・・・・・ツンは、ぼくのことを心配するお! ずっとするお!!」
「ツンには、ぼく以外の・・・・・・誰の心配もさせないお!」
一呼吸
( ^ω^) 「させたく・・・・・・ないん・・・・・だお・・・・・!!!」
後は涙声で、聞き取れる言葉は出てこない
そんなブーンを、ツンはやさしく抱きとめた
ツン 「わかってる・・・・・アタシにも、アンタ以外いないもの・・・・」
844 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 18:15:23 ID:m6f8VM080
( ^ω^) 「ツン・・・ごめんだお・・・・」
そう言って、ブーンは頭を下げた
ツン 「何? 何を謝るの?」
( ^ω^) 「ツンに心配して欲しくないって言っておいて・・・・」
「本音は、これだお・・・・・・」
ツンは泣きじゃくり、謝るブーンに、十年前とは違い、笑顔で言う
ツン 「ふふ・・・・・いいんじゃない? アンタがどう言おうと思おうと」
「アタシは、アンタを心配するんだから・・・・ね?」
( ^ω^) 「ツン・・・・・」
ツン 「でも・・・・アタシを心配させないよう、努力だけは、しなさいよ?」
( ^ω^) 「も・・・・・もちろんだお!!」
ツンはブーンの力強い言葉に、満足そうに頷き、
ツン 「今夜は・・・・頑張りなさいよっ!?」
( ^ω^) 「わかったお!」
もう言葉はいらない、分かり合えた。ツンはそう思い、自分の部屋へと帰っていった
846 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 18:23:32 ID:m6f8VM080
ブーンがツンの後姿を見えなくなっても目で追い続けていると
背後から声をかけられた
先生 「あー・・・・・・ブーン・・・・?」
(;^ω^) 「せ!? せ、せせ、せせせ、っせせっせせせせ!?」
背後には、着流し姿の先生が、顎をかきながら立っていた
先生 「いや、すまない・・・その・・・・立ち聞きする気は・・・無かったんだが・・・」
(;^ω^) 「いやいやいやいやいやいや!? っていうか!先生は聞いていたのかお!?」
頷く
途端、ブーンは顔を真っ赤にしてうめく
(;^ω^) 「うううううわあああああああああああ!!!!!???」
先生 「うん、まあ、その・・・なんだ? ・・・・おちつけ」
(;^ω^) 「ぶげぉらっ!?」
ドシュッ!! と、首筋に手刀で一撃。強制的に黙らせた
先生 「・・・・まあ、自分で、言っておいてなんだが・・・・」
「娘の覚悟・・・・・・・お前は感じてくれたみたいだな・・・・・?」
851 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 18:30:43 ID:m6f8VM080
痛む首筋をさすりながら、ブーンは気まずそうに聞いた
( ^ω^) 「先生は、こうなるのをしっていたのかお・・・・?」
先生 「というか知らなかったのはお前だけだ。多分ショボンも知っている」
( ^ω^) 「うううううわああ・・・・」
先生 「しつこい」
ドシュッ!!
( ^ω^) 「・・・・・ところで、先生は・・・その・・・・」
先生 「なんだ・・・・・・?」
ブーンは顔を赤くして、もじもじとしていた。ぶっちゃけきもかった
( ^ω^) 「認めて・・・くれるのかお・・・・?」
先生 「ああ・・・・そうだな・・・まあ・・・知ってはいたし」
「認めるつもり・・・・・だったんだがなぁ・・・・・」
だった? とブーンが首をかしげると
先生 「やっぱりあれだな・・・・うん・・・むかつく。殴らせろ」
(;^ω^) 「ちょ!!!せんせい!???? ・・・だめ! 石は駄目ぇぇ!!!」
855 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 18:45:13 ID:m6f8VM080
先生 「まあ・・・そういう話をしに来たわけではないんだが
な・・・・」
親の愛を身体全体で満喫したブーンに、先生はそう言う
( ^ω^) 「あの・・・きっちりボコしておいて、これはついでですかお・・・?」
先生 「本題はな・・・・・」
(;^ω^) 「流したっ!?」
先生 「刀狩のことを・・・・聞いておきたくてな・・・・・」
( ^ω^) 「刀狩、ですかお?」
ああ、と頷く先生
先生 「お前は・・・どうやって、殺さずに刀を奪えたのか気になってな・・・・」
「いや・・・・今の内に、聞けることは聞いておくべきだと思って・・・な・・・」
尋ねる先生の顔は真剣で、どこか差し迫った物を感じさせた
だが、ブーンはそのことに気がつかなかったのか、軽い感じで話し始めた
( ^ω^) 「ああ、そのことですかお? ・・・それなら簡単だお」
「ぼくは刀を奪っていないんだお」
857 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 18:53:55 ID:m6f8VM080
先生 「奪って・・・・いない・・・・?」
「どういうことだ・・・・・・・?」
ブーンの言葉は不可解だった
持ち帰った刀を見たが、どれも使われた形跡があった
つまり、お飾りの観賞用などではなく、実際に使用する武士の魂であった
それを持ち帰るのに、奪う以外の方法などあるのだろうか・・・・
( ^ω^) 「はい・・・・あれは、預かっただけなんだお」
先生 「預かる・・・・・? いや、しかし・・・・・・」
「お前が持ち帰った刀は・・・・いずれも腕の立つもの達の刀だ・・・」
「そんな武芸者達が、自身の魂と言うべき刀を預けるとは・・・」
思えない、ではない、ありえないのだ
だが、ブーンは飽くまでけろりとしていた
( ^ω^) 「ただで、というわけではありませんお・・・」
「あれは、再戦を誓う代わりにあずかったんだお」
859 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 19:04:42 ID:m6f8VM080
先生 「・・・・そんなことを許容する者が・・・・いるとは、思えん
な・・・・」
刀を奪われ、その雪辱か復讐のために、再戦を申し込む者はいるだろう
しかし、初めから、再戦の約束として刀を預けるなどと・・・・
それは、恥と思うのではなかろうか
果し合いに負けた身には、情けとして映るのではないのか
先生 「お前は果し合いの末に、どうしてそんな約束を取り付けたのだ?」
そんな約束ができる状態なら、ブーンに斬りかかるか、自害する
少なくとも、自分ならどちらかを選ぶだろう
まったく種のわからない手品を見せられた時のように、先生は困惑していた
そして、種を明かされたとき、先生は、さらに驚愕した
( ^ω^) 「真剣で、立ち会わなかった、ということだお」
つまり、と続ける
( ^ω^) 「ぼくは、無手の状態で果たしあったんだお」
870 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 19:19:42 ID:m6f8VM080
ブーンの言葉は、信じられないものだった
それならばまだ、刀だけをこっそり盗み出した、と言われた方が信じられる
剣道三倍段という言葉もある
それだけ、得物を持っているほうと持たないほうでは、歴然とした差が出るのだ
先生 「まて・・・・それで・・・お前は勝ったのか・・・・・?」
(;^ω^) 「何度も死にかけたお・・・・・」
そういうブーンの身体には、しかし目立った刀傷は見当たらない
ということは、一度も斬られずに、十人もの達人をブーンは倒したということだ
先生 (私は・・・・ブーンのことを見誤っていたのかも知れぬ・・・・)
( ^ω^) 「ぼくは無手で勝った後に、こう言ったお」
「この試合、ぼくは抜かなかったお。ゆえにこれは真剣勝負などではないお」
「次はお互いに真剣で立会うお。それまで、刀は預かるお」
「道場に来れば、いつでもお相手するお」
873 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 19:27:30 ID:m6f8VM080
先生は、そこで説明を終えたブーン、に再度尋ねる
どうしても、ある部分で、納得がいかなかったのだ
先生 「しかしだ、ブーン。 ・・・・・それで、自害しようとする者はいなかったのか?」
そう、そこだ。達人とさえ呼ばれる者が、ただ負けるだけでも自害しかねないのに
無手の輩に、真剣を使って負けたとあれば、もう生きてはいけない
すると、ブーンは悲しそうに顔をゆがめた
(;^ω^) 「ほとんどが、自害しようとしましたお・・・・」
そうだ、そのはずだ
だが、それならば、鶏の血など使わず、そこから血を刀に付ければよい
しかし、それをしなかったと言うことは・・・・
( ^ω^) 「ですが、ぼくはそれを止めましたお・・・・」
875 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 19:36:11 ID:m6f8VM080
それは余計なことだったのかもしれない、そう顔には書いてあった
だが、問題はそこではない。どうやって止めたのか、だ
止めて止まる物ならば、武士は切腹などしまい
( ^ω^) 「普通にやって、止められるとは思いませんでしたお」
先生 「当たり前だ・・・・止められてやめるものなど・・・・・いるはずもない」
( ^ω^) 「だから・・・・・・あえて挑発しましたお」
先生 「挑発?」
( ^ω^) 「はい。腹を切ろうとしたときに、一言」
「逃げるのかお?」
先生 「・・・・・・・・!」
その言葉は、今の先生にも突き刺さるものだった
死ぬ事が名誉、誇りだと思っていた自分がそうなのだ
死んで誇りを保とうとするものならば、当然
先生 「それは・・・・怒り狂うだろうな・・・・」
( ^ω^) 「はい・・・・・」
878 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 19:46:46 ID:m6f8VM080
( ^ω^) 「でも、それでよかったんだお・・・・」
うつむくブーンは、言葉と裏腹に悲しそうであった
( ^ω^) 「怒りでも何でも、生きる気力になってくれれば、いいんだお・・」
そしてブーンはこちらに頭を下げた
( ^ω^) 「そういうわけで、先生。これからそういう人がくるかもしれないお」
「道場に、ご迷惑をおかけすると思うお・・・・」
先生 「いや・・・・命じたのは私だ・・・・自業自得と言うやつだ・・・・・」
それよりも、と先生はやさしく言った
先生 「お前は・・・・・さぞ・・・辛かったであろうな・・・・」
( ^ω^) 「いえ、誰かを死なせるより、何倍もマシだお」
これで、疑問は氷解した。そして・・・・・・
先生は、一つの答えを、ブーンの話の中から得ていた・・・・・
883 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 19:56:59 ID:m6f8VM080
ちょうどその時、毒男は近くの丘にいた
毒男の前には、50人は超えるであろう人数が集まっていた
('A`) 「お前ら! ・・・・準備はできてるな?」
手下達 「おおっ!!」
押し殺した声で、全員が応えた
毒男は全員から顔が見えるところに立ち、大声になり過ぎない程度で
演説を開始した
('A`) 「・・・今夜、ニュー速流に攻め込む。にっくき仇のあいつらにな・・・!」
「もちろん、やつらに恨みの無い奴も、この中にいるだろう・・・だが!」
ダン!! と、地面に鉄槍の小尻を叩きつけ、言葉を区切る
('A`) 「・・・・俺の恨みに、付き合ってくれ・・・・・!!!」
「俺の・・・・俺の人生をぶち壊したあいつに、復讐する・・・」
毒男は、顔を大きく上げ、涙声で叫んだ
('A`) 「力を・・・・・貸してくれ・・・・・!!!」
手下達 「うおおおおおおおおおおおお!!!!!」
全員が一丸となり、毒男に応えた
890 名前: 1・ ◆3mfWSeVk8Q
[sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 20:11:25 ID:m6f8VM080
時間は流れ、夜になった
先生、ブーン、ツン、ショボンの四人は、どれも険しい表情だ
先生は着流し姿に、刀を三本、脇差一本を腰に差し
着流しの下には何重にもさらしを巻き、刀が落ちないようにしていた
ブーンはたすきをかけ、鉢巻を締め、腰には刀を一本だけ
そして両手に手裏剣を仕込んだ手甲をつける
ショボンはブーンと変わらぬ装いに、手裏剣は外し、
父の小太刀と刀にしては短い方の物を腰に差していた
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
皆、無言
言葉は既に交わしきっている
ならば、後は祈るだけだ。互いの無事を・・・・・
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