第十二話
294 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:06:33
ID:wBmJVrO30
('・ω・`) 「先生・・・・!!」
先生 「・・・・・! ショボンか・・・・!」
道場の戸を開け、入って来たのは血まみれのショボンだった
一瞬、それほどの傷を受けたのかと、思ったが、ショボンの動きに異常はない
そのことを確認し、先生は安堵する
('A`) 「ちっ・・・あいつら全員やられちまったのかよ? ・・・ま、いっか」
「ショボンっつーことは・・・・お前が、ニュー速流の後継者か?」
「なーんか、どっかで見た面なんだよな・・・・?」
先生 「わからないのか・・・・? コイツは・・・シャキンの息子、ショボンだぞ・・・?」
('A`) 「・・・・!! そうか・・・通りで・・・」
('・ω・`) 「お前が・・・毒男か・・・・!!」
目の前に座った男が毒男だと知ると、ショボンは斬りかかろうとする
しかし、前に回った先生に止められた
先生 「落ち着け・・・・・・!」
('・ω・`) 「く・・・止めないで下さい・・・・!!」
('A`) 「あー・・・シャキンの息子。こっちにつくんなら、見逃すぞ?」
295 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:06:50
ID:wBmJVrO30
('A`) 「つか、なんでお前がそっちにいるのかって方が疑問なんだ
がな・・・・」
立ち上がり、渋い顔で毒男が言う
('A`) 「お前さんは、しらねぇんだろうけどよ、そこのそいつぁ・・・」
('・ω・`) 「父上の仇・・・だと・・・・?」
('A`) 「・・・なんだよ? 知ってんじゃねぇか。それなら話は早いわな」
('・ω・`) 「断る!!」
「父上は、誇りを持って果し合い、そして死んだんだ!」
「・・・・・お前の、父上の顔に泥を塗るような真似は、ぼくが許さない!」
ショボンは毅然と毒男に言い放つ。しかし、毒男はそれを聞いて笑った
('・ω・`) 「・・・・何がおかしい・・・・!?」
('A`) 「正々堂々ってか・・・・? なら、お前に聞こうか・・・?」
「息子のお前なら知っているだろ? 右手を斬られ、それから腹を突かれて」
「シャキンは死んだ・・・そうだな?」
ショボンの答えを待たずに、毒男は続ける
('A`) 「右手を斬った時点で、勝負はついてんだろ?」
「なんでおっさんはそこにとどめをさしてんだよ・・・!!」
296 名前: 1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:07:07 ID:wBmJVrO30
毒男は、憤怒の表情で、感情を隠さずにショボンにぶつける
('A`) 「確かに! シャキンは二刀流の使い手だぁな・・・・?」
「左手だけでも、そこいらのショボイやつらにゃ遅れはとらねぇ・・・」
「でも・・・・・だ。息子の、お前さんならわかってんだろ・・・・?」
一息
('A`) 「このおっさん相手に、片手でまだ勝てると思うほど・・・・!」
「お前の親父は、俺の師匠はっ・・・・!!」
「・・・自惚れていたかっ!? 悪あがきで無様を晒すような男かっ!?」
「・・・・・・答えろよ・・・・・!」
先生 「・・・・・・・・・・・・・・・・」
毒男の激しい言葉に、先生は、何も言わない
それは、無言をもって、毒男の言うことを認めていると言うことではないのか
ショボンに対して、嘘は言えても、毒男には通じない。だから観念した
そう、取れる態度ではないのか・・・・・?
298 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:08:04
ID:wBmJVrO30
毒男の、激しい揺さぶりに、しかしショボンは眉一つ動かさない
('A`) 「おい・・・・? なんとか言えよ・・・・?」
「俺は・・・お前を潰したかぁねぇんだぜ・・・?」
「共に・・・・・・・仇を討とうじゃねぇか・・・・」
先生も、毒男も、ショボンの言葉を待つ
おそらく、両者が待っていたのは、同じ言葉だったろう・・・・
('・ω・`) 「ああ・・・なんだ・・・言いたいことはそれだけか・・・・」
('A`)・先生 「・・・!?」
しかし、ショボンの言葉は予想をハズレ、続く言葉に二人は目を見開く
('・ω・`) 「だって・・・先生は・・・・・父上を刺してなんかいないっていうのに・・・・」
305 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:17:17
ID:wBmJVrO30
ショボンの言葉を、真っ先に否定したのは、先生だった
先生 「ショボン!? 私は・・・いや、毒男の言うとおりだぞ・・・・?」
「私は・・・・反撃を恐れ・・・・・それで・・・・・!!」
('・ω・`) 「先生・・・もう憎まれ役を演じる必要はないんですよ・・・・」
先生 「・・・・・・・・・・・・・・・」
ショボンの、何もかも知って、そしてその上で許そうとする顔に
先生はもう何も言えなかった
('A`) 「・・・・・・どういうことだ・・・・・・・説明してみな・・・・・・・」
('・ω・`) 「アナタも、わかっているんでしょ・・・・?」
('・ω・`) 「父上は、自ら自分の腹を切ったってことを・・・・・・」
316 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:26:18
ID:wBmJVrO30
('・ω・`) 「先生・・・・あの時・・・父上を刺した時の事を聞い
たじゃないですか・・・」
先生 「あ・・・・・・あの時か・・・・?」
先生が、ショボンに、父を殺したのは自分だと打ち明けた直後の質問を思い出す
『先生は・・・父を、どのようにして、とどめを指したのですか?』
ショボンは、確かに、そう聞き、先生はこう答えた
『右手首を斬り飛ばした直後、左の小太刀が来る前に突き刺した』
先生 「なぜ・・・それだけで・・・・・・?」
('・ω・`) 「父上の背中は・・・・・汚れていなかったんですよ」
「先生が、どんなに浅く刺そうとしても、父上は斬りかかって来るんですよ?」
「・・・・どうやったって、勢いのまま、刀は背中に出るじゃないですか・・・?」
ショボンは、悲しげにうつむき
('・ω・`) 「先生の嘘には・・・・その時点で気づいていましたよ・・・・・」
328 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:37:04
ID:wBmJVrO30
('A`) 「ちッ・・・・・・そんなこたぁこっちも知ってんだ
よ・・・・」
毒男は、懐に手を入れ、つばを吐き捨てる
('・ω・`) 「だったら・・・・なぜ、復讐なんか・・・・・」
('A`) 「それでも・・・・シャキンが死んだのは、おっさんの所為に変わりはねぇ・・・・」
「俺はな? ショボン。おっさんの弟子のブーンと、おっさんと娘」
「それだけ殺せれば、それでいいんだぜ・・・・・?」
「お前を殺す気なんか、さらさらねぇんだ」
一息、そして視線に力を込め
('A`) 「これが、最後だ。・・・・・こっちに来い。おっさんの息子を殺したくはねぇ・・・!」
('・ω・`) 「ブーンを殺すというあなたを、ゆるす訳にはいかない・・・!!」
ショボンは、折れた刀を引き抜き、構える
('・ω・`) 「そして、ラウンジ流の名にかけて、アナタを倒す・・・・・!!」
334 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:45:52
ID:wBmJVrO30
ショボンが、ラウンジ流、と口にしたとき、毒男の表情が変わる
('A`) 「ラウンジ流・・・・だと・・・・・・? 笑わせんな・・・・・!」
「あんな、小手先の技で、お前はラウンジを名乗るのか・・・・!!」
毒男が刀を抜く。小太刀などではなく、両手に大刀を構え、吼える
('A`) 「俺が・・・シャキンから受け継いだ、ラウンジ流・・・・!」
「本家本元の技で、てめぇは叩き潰す・・・・・!!!」
気迫を込め、道場の空気を一変させる毒男。それを感じ、顔をゆがめた先生は
ショボンに、持っていた刀と、差していた脇差を手渡す
先生 「ショボン・・・・これを使え・・・・・」
('・ω・`) 「・・・・先生・・・・」
先生 「折れた刀よりはマシだろう・・・・私では、あいつに勝てない・・・!」
ショボンは頷き、受け取る
('・ω・`) 「来い・・・・! お前を止めて見せる・・・・・・!!!」
338 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:52:32
ID:wBmJVrO30
ショボンと毒男、構えはお互い、まったく同じ
左手に持った刀、または脇差を前に倒し、相手の喉元に突きつけ
右手に持った刀は頭の上、後ろに寝かせるように構える
('A`) 「安心しろや・・・・殺しはしねぇ・・・!」
('・ω・`) 「手加減が・・・・できる相手と思うなよ・・・・・!!」
('A`) 「ぬかせっ! テェヤアアアア!!!!!」
ダンっ!! と、毒男が床を踏み抜かん勢いで蹴りだし
左の刀をそのままショボンの喉へと差し込む
('・ω・`) 「甘いっ!!」
ショボンはそれを同じく、左の脇差で左に落とす。毒男の身体は右に閉じ
逆にショボンの身体は左に開く
開く勢いで、ショボンは右の刀を打ち下ろす
('・ω・`) 「ジェエエエエエアアアアアアッッッッッッッ!!!!!」
340 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 01:01:51
ID:wBmJVrO30
ショボンの全力の打ち込みを、毒男は頭と、右の刀を左に寝かせ、
首と肩でもって支えきる
('A`) 「・・・・!! 打ち込みが、全然なっちゃいねぇ!!」
('・ω・`) 「ぐっ・・・・・!!」
毒男は両腕を目の前で交差し、開く動きで左右からショボンの首を挟むように薙ぐ
ショボンは、両腕広げた姿勢のまま、身体を後ろに逸らし、これを回避
そしてそのまま背後に手をつき、バック転で距離をとる
('A`) 「逃げたつもりかぁぁぁぁああああああッッ!!!」
稼いだ距離を毒男は一歩で跳び、肘を曲げ、前に向けた両の刀を
着地と同時にショボンの両肩めがけ突き入れる
ショボンは、床についた両手を刀ごと振り上げ、突きを吹き飛ばす
しかし、毒男はそれで止まらない
('A`) 「ショラアアアアっっっっっっっっ!!!!!」
('・ω・`) 「グッハぁっっっつ!?」
跳ね上げられ、上半身が上に伸びる勢いを利用して、つま先蹴りを叩き込む
342 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 01:10:42
ID:wBmJVrO30
ショボンは蹴りに耐えようとはせず、自分から跳ぶことで勢いを殺す
毒男もまた、深追いはせず、自ら後ろに跳び、お互いの距離を離す
息が粗くなるショボンに対して、まったく息を乱していない毒男
だらり、と刀を下に向けていた毒男が、ショボンに言葉をぶつけた
('A`) 「やっぱてめぇは上辺だけだ・・・・!!」
「いいだろう・・・・これからラウンジの奥義、見せてやらぁ!!」
('・ω・`) 「・・・・・・・!! ・・・・・・?」
宣言した毒男に、身構えたショボン。だが、毒男は何も動いてはいなかった
垂らした刀も、落とした腰の高さも変わらない
ショボンは、宣言を動揺を誘うためのブラフ、ハッタリだと判断
('・ω・`) 「ィィイイヤァァァアアアアアッッッッ!!!!」
毒男の一手目と同じ、左の突きを、飛び込み、放つ
346 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 01:17:01
ID:wBmJVrO30
ショボンが飛び込み、毒男に届くまでの間に、それぞれに対応して毒男は
動く
ショボンが踏み込むのと同時、右足を半歩、右斜め前に踏み出し
ショボンが左の刀を一度引いた時、両腕を脇を締めたまま広げ
ショボンが着地するのを確認して、右腕を伸ばし
ショボンが突きを放ったところで、伸ばした腕を鞭のようにしならせ、突きを落とす
('・ω・`) 「・・・・・!!?」
ただ、落とされただけなのに、ショボンの左腕には、金槌で叩かれたような衝撃が走った
刀を取り落とさないよう、左手に力を込めようとしたとき
351 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 01:24:32
ID:wBmJVrO30
('A`) 「手元がお留守だぁぁああああっっっっっっ!!!!」
払うときに、ねじった身体を戻す力でもって
今度は縮めていた左腕を鞭のようにしならせ、右上へと振り上げる
左の刀の軌道には、ショボンの脇差
('・ω・`) 「・・・なっ・・・・!?」
ガギャアァンっ!! と耳障りな音を立て、ショボンの脇差が弾き飛ばされる
ショボンの手には、異様なまでの衝撃の名残、振るえだけが残った
('A`) 「右の横方向からの力に耐えようとすりゃ・・・・」
「左の下方向からの力に耐えられるわけがねぇ・・・・・・・!!!」
('・ω・`) 「く・・・・・・・・・!」
ショボンは震える左手を無視、残った右の刀を毒男の頭に振り下ろす
359 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 01:32:21
ID:wBmJVrO30
('・ω・`) 「エェェヤァァァァァアアアアッッッッッ!!!!」
('A`) 「無駄だっ!!」
振った両腕を半分だけ戻し、自分の頭を腕で挟み込むようにしてしゃがむ毒男
刀が頭に届く前に、左腕を左に、右腕を右に、伸ばしながら回して
刀を頭上で交差させるように組み、立ち上がる勢いと共に
両の刀を下に向けて振り下ろす
刀の間のショボンの刀などは、まるで気にせずに
('・ω・`) 「え・・・・・・!?」
('A`) 「ハァッ!!」
キィィィンっっ!!
澄んだ音を立て、ショボンの刀は中央から両断されていた
('A`) 「これが本当の、ラウンジ流・大鍬型だ・・・・!!」
362 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 01:40:59
ID:wBmJVrO30
得物を、すべて持っていかれたショボンは放心、否、混乱した
('・ω・`) (なんだ? なんだ? いったい何が起きたんだ?)
わかるのは、絶対的な自分の不利だ
目の前にいる、自分より背の小さい男は、混乱する自分に目もくれず
身体を大きく左に捻る
('・ω・`) (あ・・・・よけなくちゃ・・・・・!!)
慌てる頭でも、身体は動いてくれる。一歩で刀の届かない距離まで逃げた
毒男はそんなことは気にせず、捻った身体を、右の踏み込みと同時に戻し
('A`) 「カァッ!!」
('・ω・`) 「え・・・・・・・・うそ・・・・?」
ゾン!! と、左の刀が、ショボンの胸板を逆袈裟に切り裂いた
366 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 01:47:36
ID:wBmJVrO30
ショボンが、斬撃の勢いで身体をよろめかす内に、今度は右の刀が
('A`) 「エァッ!!」
('・ω・`) 「あああああああああああああああ!!!!!!!!!」
ズパァっっ!! と、ショボンの胸を袈裟に切り裂く
胸を十字に切り裂かれ、力を失ったショボンの足は、膝から崩れ落ちる
('A`) 「そしてこれが、本家ラウンジ流・竜巻だ・・・」
後ろを向き、振り向かずに毒男は、刀を振って血を払い、納刀する
先生 「・・・ショボン!! おい! ショボン!?」
('・ω・`) 「あ・・・あ・・・・あ・・・あああああああ・・・・・」
がくがくと震えるショボンに、先生が駆け寄る
すぐさま上着を脱ぎ、傷口をふさぎにかかった
370 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 02:01:57
ID:wBmJVrO30
血を流し、震えるショボンに向かって、毒男はつまらなそうに
('A`) 「安心しろや、肉しか切っちゃいねぇよ」
「血管も避けたつもりだぁぜ?」
確かに、流れる血の勢いは弱い。血色も薄暗い静脈血の色合いだ
太い動脈は傷ついていないとわかる
('・ω・`) 「な・・な・・んで・・・・?」
('A`) 「なんで、刀が届いたか、か? ・・・・それでもラウンジかよ・・・・」
毒男は、大きく両腕を広げ、身体全体を使ってそれを振り回す
('A`) 「これが、ラウンジの基本にして奥義の技法、『鞭』だ」
「重さの無い片手での一撃に、スピードを与え」
「小柄な者でも一撃必殺を可能とする技だ」
毒男は、そこで言葉を切り、吐き捨てるように続ける
('A`) 「てめえの見様見真似とはわけがちがうんだよ」
372 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 02:11:16
ID:wBmJVrO30
('A`) (同じラウンジでも、こんなもんなのか?)
毒男は内心、大きく落胆していた
確かに、毒男の目的は復讐だ。シャキンの仇を討つために
先生に最大限の絶望を与えてから殺すのが目的だ
だがしかし、それでもどこかで期待していた
自分の人生で、再度大きな壁となり、立ちはだかる男を
('A`) (・・・・ハッ、何を考えてんだか・・・・)
手ごたえの無さに、不機嫌になっている自分に気づき、そのことを打ち消す
今は、復讐の時間だ、それ以外のことに、意識を割くべきではない
しかし、毒男は、ちらりとショボンの方を向く
('・ω・`) 「は、は、は、・・・・・・・・・・!!」
息を粗くするショボンは、毒男の射抜くような視線を浴びた瞬間
ビクっ、と身体を強張らせ、震え始めた
('A`) (あいつは・・・・もう俺の前に立ちはだかれねぇな・・・・)
377 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 02:25:46
ID:wBmJVrO30
先生は、ショボンの傷に自分のさらしを切り裂き巻きつけ止血を終えた
震えるショボンは、おそらく初めて出遭ったであろう
まったく歯の立たない強敵に、恐怖していた
ショボンは、もう二度と、剣をにぎれないかもしれない。そう、思った
先生 「・・・・・・・・・・・・・・」
先生は、立ち上がり、神棚へと向かう
('A`) 「どうした・・・? ブーンが俺に勝てるよう、神頼みか?」
先生 「いや・・・・・そんなんじゃないさ・・・・・」
先生は、神棚に拍手を打ち、手を突っ込む
そして、二振りの刀を取り出した。一つは肉厚の、刃のないナマクラ
もう一つは、薄く鍛え上げられた直刃のニュー速流の白柄の刀
そのうち、白柄の方を引き抜き、毒男に構える
('A`) 「・・・・・・・勝負は見えてる、そうは言わなかったか・・・・?」
先生 「ああ・・・・だがな・・・・」
チャキ、と静かにそれを構え、言う
先生 「弟子をここまでされて、黙ってはいられんのだよ・・・・・・・!!」
381 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 02:32:10
ID:wBmJVrO30
先生 「意亞ぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!」
裂帛の気合を込め、最上段からの打ち込みが、毒男を襲う
毒男は、するりと音も立てずに移動、先生の横に逃げる
('A`) 「てめえの順番は、まだまだ先だ・・・・!!」
先生 「順番など・・・・・守る意味もない・・・・・・・・!!」
振り下ろされた刀の刀身、その峰に右手を沿え、振り上げる形で
毒男の胸元を切り上げる
バックステップでそれをかわし、毒男は懐に手を入れたまま、向き合う
先生 「ニュー速流頭首として、シャキンの友として、これ以上は許さん!!」
左手を毒男に突き出し、頭の上で峰に右手を当てたまま、先生は構える
('A`) 「・・・! てめえが、シャキンの名前をだすんじゃねぇよ・・・!!」
384 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 02:38:18
ID:wBmJVrO30
シャキンとの果し合いは、いとも簡単に決着した
鞭のような動きで襲いかかるシャキンの刀を避け、懐に入り込み
左の小太刀が襲い掛かる直前
先生 「セアッ!!」
(`・ω・') 「ぐっぁああああああ!!!!」
刀を抜き打ちざまに右手に走らせ、刀ごと切り落とした
流れる血を止めるように手首を握り締めるシャキンに
先生 「・・・・お前を殺したくはない・・・・!!」
「今なら、腕のいい医者に行けば、腕も治る・・・だから!!」
(`・ω・') 「それは・・・聞けぬ頼みだ・・・・!」
先生 「シャキン!!」
(`・ω・') 「最後の頼みだ・・・・息子と、若を・・・・・頼む!!」
先生 「馬鹿! よせ!!」
そう言って、シャキンは自害した・・・・・
385 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 02:46:25
ID:wBmJVrO30
その日以来、先生は後悔し続けた
なぜ、自分は、シャキンの腕を切り落としたのだろう
ほかにやりようは無かったのか
答えなど、出はしない
もし、お互いに五体満足であったなら、確実にどちらかは死んだであろう
そのぐらい、シャキンとの実力は吊りあっていた
不意打ち気味に、腕を落とす以外に、道は無かったはずだ
だが、武士の魂を切り捨てられ、シャキンほどのものが生きていけるはずも無い
それも・・・・・わかっていたはずだった・・・・・
シャキンの死が、自分の要らぬ情けの所為だと、自分を責め続け、死ぬ事ばかり考えた
毒男に殺されることで、責任を取ろうと思っていた
だが、ショボンの言葉で、それは間違っていたと気づかされた
だから、私は、シャキンとの最後の約束を守る
ショボンと毒男を救うには、今しかない・・・・
今、ここで毒男を倒し、ショボンを救い、
倒すことで、毒男を救わねばならない
この戦いは、負けられないのだ・・・・・・・・!!!
386 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 02:54:02
ID:wBmJVrO30
先生 「ゼャァァアっっ!!」
('A`) 「く・・・・・・・!!」
渾身の力を込めた一撃を、毒男めがけて振り下ろす
毒男はそれを、刀で受けず、身体を引いて避ける
ニュー速流とラウンジ流
その相性は最悪で、最高だ
ラウンジは敵の攻撃を受け流すか、受けるかしてからの反撃重視
そしてニュー速流は、相手の防御ごとぶった切る先制攻撃重視
受け切れれば、ラウンジの勝ち。受け損なえば、ニュー速の勝ちとなる
そして、先生には、今や木剣で大木を切り裂くまでの域に達した剛剣がある
それすなわち、斬鉄をも可能とするものということである
ゆえに、毒男はかわし続けるしかないのだ
390 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 03:02:48
ID:wBmJVrO30
切り下ろした刀を返そうともせずに、上の方向めがけて突く
二刀を抜いた毒男でも、かろうじて右の刀で滑らせるのが可能と言う程度の速さだ
先生 「チェイヤァっ!!」
('A`) 「・・・・・ぐぅっ!!」
すべらせた刀が、こちらを押し切る前に、刀を横に倒し、頭を薙ぎに行く
刀すらも切られるという恐怖が、毒男の刀を防御に回させない
しゃがみこみ、刀を斜めに頭を守るようにして避ける
だが、しゃがみこんだ先に、先生の足が迫っていた
先生 「セィっ!!」
('A`) 「ガウバっ!?」
足の裏が、毒男の顔面を正確に捉えた時・・・・
ブシュっ!!
先生 「な・・・・・・・・?」
('A`) 「へっ・・・・蹴りなんかするからよ・・・・胴ががら空きだぜ・・・!!」
しなる蛇のような動きで、先生の腹を左の刀が撫ぜていた
392 名前: 1
◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 03:11:48
ID:wBmJVrO30
立てた右の肘に、左の拳を当てて作ったL字状の構えの毒男
腹を切られ、後ろへと倒れる先生
毒男は立ち上がり、懐から取り出した半紙で刀についた血と自身の鼻血をぬぐう
('A`) 「・・・あのまま、斬り続けられたらやばかったか・・・」
「達人も、よる年波には、判断力を奪われたってわけか・・・」
腹から流れる血の暖かさを感じながら、先生は思った
先生 (すまぬ・・・・ショボン・・・・シャキン・・・・・)
(すまぬ・・・・毒男・・・・・お前を・・・救ってやれない・・・・)
今にも意識を失いそうな先生に毒男は近づく
('A`) 「まだ・・・死んでもらっちゃ困るんだよ・・・・」
先生 「うぐっ・・・・・・!」
そう言って毒男は帯を外し、先生の傷口に乱暴に巻き始めた
圧迫され、とりあえず血は止まるものの、乱暴さにおもわずうめいた
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